日々の出来事や調べ物に関するネタを備忘録(Memorandum)として残していくBlogです。

映画「この世界の片隅に」片渕監督生コメンタリー付特別上映を観てきた(4回目)

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Blu-ray&DVDの発売を記念して特別に行われるというこの企画。開催を知って予約受付時刻に万全の体制で臨み、何とか鑑賞座席をゲット。

映画 この世界の片隅に Blu-ray & DVD 発売告知CM - YouTube

ちなみに申し込み開始5〜6分程で以下の様な形で満席となる即完売チケットとなりました...指定座席がタッチの差で「取得出来ません」と2回程なってしまったので若干焦りました...。

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開始時刻になり、程無くして司会進行の方が先立って登場。そして片淵須直監督の登場です。
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実際に監督が目前に居る形での映画鑑賞は今回初めて。いやーテンション上がりますねぇ。
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以下感想。感想と言うか片淵監督の発言メモですね。こんなニュアンスの事を言ってた、という感じで。

  • 本編開始前にテアトルのロゴが出るけど、あの時に出てくる黄色いやつはレモン?いやでもヒラヒラし過ぎてるしなぁ...
  • 冒頭、すずが船に載せてもらいながら移動するシーン。実はあの時代、バスは運行していたとのこと。すずの事だからバス代をケチったのだろう。
  • キャスト表示する部分、海外に展開したものの数多くは漢字表記のままだったのだが、フランスだけローマ字表記に。「のん」が"non"(ではありません)になってしまう事態に。
  • 冒頭何枚か出て来るすずが描いた画は原作のこうの史代さんによるものなのだそう。
  • スイカの描写は赤い感じだったが、あの頃のスイカは実際は黒みがかった感じだったらしい。
  • 海苔が出て来るシーン、「焼き海苔じゃないんだから緑は無い、変えて」と指摘を受けたらしい。海苔を頂いている事もあり修正。
  • この頃の電話は「呼ぶもの」ではなく「呼ばれるもの」。
  • 最後まで残る衣装はカーディガン。途中、径子さんに指摘された事でカーディガンは暫くしまわれる形となり、結果として最後まで保存されているという形となった。
  • 嫁いでから兄に手紙を書くシーン。名字が変わっているので「北條」は若干時間が掛かっているが「すず」は筆跡が早い。
  • 住所は実在しないもの。曰く「嘘"八百"ですから」
  • 着物を裁断して作り変えるシーンがあるが「普通は反物に戻してから作り変える。すずがやった(がっつり真ん中で裁断)方法、アレは間違い」
  • 千人針をすみちゃんと縫い付けるシーン、そもそも千人針は「寅年(トラは千里を掛けて千里を"戻ってくる")的ないわれがあり、「ちゃんと戻ってこいよ」という意味合いもある)の人が縫い付けを行う事に意味があるのに、すずは丑(うし)年だった。これはこれで大丈夫なのかという思いはあるw」
  • "なんこうめし"を作るシーンのあたり。この頃は実際はまだ食糧難には至っていない時代だった。監督曰く「来たるべきそういう時代に備えて、すずなりに練習していたのでは」
  • "かなとこ雲"の解説をすずが行うシーン。この頃で既に日本的には敗戦ムードが漂っていたらしく、「ここで戦争を終えていれば、数百万の人が命を落とさずに済んだのでは、と思う」。
  • 径子の旦那さんの名前は家族で柱に名前を刻んでいたシーンで判明する(キンヤさん)。また、径子さんとキンヤさんの背がさほど変わらない(キンヤさんが僅かに径子さんより大きい程度)ことからも、キンヤさんの虚弱さが伺える。
  • 憲兵の人(すずが背景描写をしていたら捕まえられたあの人)は、監督が「是非この人に!」と前々から希望していた声優さんが担当(名前は失念)。作品中の顔立ちもその声優さんに似せて描いているらしい。
  • 周作さんが携わっていた録事(ロクジ)という仕事は奈良時代だか平安時代だかからある仕事らしい。
  • "落し紙"をすずが集め、柔らかくしているシーン。監督曰く「落し紙でお尻を吹くとお尻が(インクで)黒くなります」との事。監督自身昭和40年代に同じような経験をしたらしい。
  • 遊郭のシーン。黄色い服を来ているのがテルちゃん。(原作ではシーン多目だったが映画ではこの1シーンのみ)。これは過去鑑賞回でも見落としていた。あとで観直そう。また遊郭からタクシーも呼べた(制度的に)らしいが、この時代ではタクシーは呼んでも(状況的には)来なかっただろう、とも。
  • 途中からすずの衣服の左胸の辺りに「身元票」が縫い付けられるようになったが、これは日本本土が戦場になった際、被害を受ける等して身元がわからなくなった時のために備えてのものだったらしい。
  • 水原哲さんがすずに迫り、拒否した後は迫らなくなった点。哲さん役の声優:小野大輔さんは監督に「なんであの後手を出さなかったんですか?」と聞き監督が「良いやつだからだよ」と答えると「そうなんですか!」と納得していたらしい。ってことは良いやつだと思って無くて声を当てていたのかw
  • 周作さんとすずの列車内での会話シーン。線路の段差?の間隔を計算に入れて、3秒に1回揺れるような動きをシーンに盛り込んだとのこと。
  • 砲撃シーンで煙に色が含まれているシーン。これは、撃った側が、自分がどこに撃ったかが分かるようにとの配慮をしたものらしい。
  • 「すずさんはこまいのう」と周作さんが語り掛けるシーン。この頃に併せて沖縄戦が繰り広げられていた。これを聞いて「あぁ、ハクソーリッジのアレがこの時代に行われていたんだなぁ...」と思うなど。
  • 寝る時に鉄兜と靴を枕元に備えていたシーン。実際東京などではこういったものを「付けて寝ていた」そうです。(東京の方が空襲はひどかった)
  • 「呉の皆さん、頑張ってください」というラジオ放送の掛け声は実際にあった。
  • 漫画原作ではすずが左手を失った後は背景を(こうのさんが)左手で描いていたが、これをオマージュする形で映画版でも美術監督が背景画像を左手で描いている。(一場面だけだけど)
  • 原爆の明滅→爆風のタイミングは距離感(広島〜呉、20km近く離れている)を計算して演出。
  • 北條家は標高的には200m近くある立地。なので霧が立ち込めているシーンもある。
  • エンドロールの名前については、(公開当初から現在のパッケージは)名前の数は増えている。
  • クレジット上で表示されている静止画の一覧、アイデア起草から作成まで1日で出来てしまったのだそう。
  • エンドロール後のお礼の部分、リンさんについて描いたものだったがコトリンゴさんに依頼して出来た伴奏曲は「すずさん」だった。ただ合わせて見るとしっくりきた。

開始及び終了時の片淵監督のコメントについてはTwitter等でも挙げている人がいるでしょうし、後日メディア等でも採り上げられるでしょうから(バンダイビジュアルの関係者の方々が各種撮影等を行っていました)そちらも合わせてご確認頂ければと思います。

ちなみに片淵監督は真ん中最前列に座られながら、適宜マイクでコメントをしていたようです。いやぁ、貴重な体験をさせて頂きました。映画自体の鑑賞は今回で4回目ですが、やはり不発弾爆発以降の晴美ちゃんの諸々のシーンはクるものがありますね...監督自身もまた是非別の角度で、こういう企画をやりたいという旨のコメントをされていましたので是非とも実現して頂きたいところですね。