『この世界の片隅に』を観てきた
SNS上での評判が殊更良い感じだったのでちょっとこれは観ておこうか、という感じで観てきました。観に行ったのは109シネマズ湘南。好評ぶりにパンフレットも売り切れている所があると聞きましたが、ここでは問題なく買えました。鑑賞した映画のパンフは必ず買ってるのでひと安心。内容もかなり読み応えあるのでこれは買っておいた方が良いです。
観てきた感想としては、良かったです。なかなかに良かったです。
まずとても印象的だったのは、主人公の『すず』を始めとする何とも言えない、和やかになる顔の表情。
顔文字にするならば、
( ´ ∀`) (⌒∀⌒) (≧∀≦)
のような感じでしょうか。ほんわかなイメージを表す様な表情とか『アチャー』『やっちまったー』みたいなw
下記記事で町山さんが映画の解説をされていましたが、
ちょうどこの時につぶやかれた画像付きツイートがまさにそこに言及しています。
「この世界の片隅に」すずさんの「ありゃー」顔と言ったのは、こんな顔です pic.twitter.com/DOlGZIWuqf
— 町山智浩・告知用 (@TomoMachi) 2016年11月1日
この表情が折に触れて出て来る(結構頻繁に出てくる)訳なのですが、これがまた和む。前半は割とお笑い要素的に、すずやその他キャラクターの雰囲気を表現する為に使われていて、戦争(を題材とした)映画なのにほのぼのとさせられます。一方で後半から終盤、戦争が始まり激化〜終戦へと向かって行くに連れて情勢や生活も厳しいものになり、描写もエグいものとか精神的に辛いものが続く中でちょっとした時に出てくるこの表情に助けられた部分もありました。あと個人的には円太郎さんや刈谷さんの表情もツボ。
全体を覆う雰囲気は『ほのぼの』としたものなのですが、途中容赦無い・辛い(描写的に/精神的に)シーンも割と出てきます。主に後半ですが。径子さんの人生のあゆみに関する部分も本人の立場からすると心情を察して余りある程ですし、すずに隠れて心情を吐き出しているあのシーンは吐き出す方にしてもそのシーンを偶然みちゃったすずにしても何とも言えない辛い気持ちになりました。またすずの1歳年下の妹『すみ』についても、物語の終盤2ショットシーンで最後に映し出される場面。それが何であるかを説明する事は無く、当時の当事者達にとっては何のことやらですが戦後の歴史を知っている我々からすると『その先』を予見出来てしまうのが何とも悲しい場面でした...。すずが心情を吐露するあの場面についても、全体を通してほのぼのほんわか、ドジっ子さんなテイストを通していたからこそ、そこからのギャップで余計にグッとくるものがありました。
そういった意味で、全体を通して楽しさ、和やかさ、そして悲しさや辛さの感情の起伏を表現し、グッと来させた主役:北条すずの声優を努めた『のん』(能年玲奈)はかなり良かったのでは無いでしょうか。評判に違わぬとても鑑賞しがいのある作品でした。オススメです。